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Galaxy Ring:衝撃の「膨張」事故で利用者が病院搬送。安全性は大丈夫か?

Galaxy Ring:衝撃の「膨張」事故で利用者が病院搬送。安全性は大丈夫か?

2025年2月に日本国内でも発売され、スマートリング市場の大本命として大きな期待を集めているSamsungの「Galaxy Ring」。その最新デバイスに関して、非常に気がかりな事故報告が飛び込んできました。著名なガジェット系YouTuberが、装着していたGalaxy Ringが指の上で突然膨張し、激しい痛みで外せなくなるという悪夢のような事態に見舞われたのです。結果として飛行機への搭乗も拒否され、病院での緊急処置を余儀なくされました。この一件は、私たちが日常的に身につける極小のウェアラブルデバイスに搭載されたバッテリーの安全性について、重大な問いを投げかけています。

悪夢が現実に:空港で起きたリング膨張の全貌

この衝撃的な体験を報告したのは、テクノロジー系の人気YouTuberであるダニエル・ロタール氏です。同氏はハワイでの滞在を終え、空港で帰国便を待っていたまさにその時、指にはめていたGalaxy Ringに明らかな異変を感じたといいます。ロタール氏は自身のX(旧Twitter)アカウントで、その緊迫した状況を生々しく伝えました。「(Galaxy Ringのバッテリーが)膨張して、もう外せない。そして痛む」というコメントと共に投稿されたのです。

添えられた写真には、Galaxy Ringの内側(指に触れる面)が不自然に盛り上がり、指に食い込んでいる様子がはっきりと写っていました。リングによって圧迫された指は赤く腫れあがり、見ているだけでも痛みが伝わってくるようです。ロタール氏はすぐに水や石鹸を使ってリングを外そうと試みましたが、膨張したリングはびくともせず、痛みは時間と共に強くなるばかりでした。

事態はさらに深刻化します。彼は飛行機に搭乗しようとしましたが、空港の職員に状況を相談したところ、安全上の懸念(バッテリーの異常による発火などのリスク)があると判断され、搭乗を拒否されてしまいました。指の痛みと焦りの中、彼はその日のフライトを諦めざるを得なくなったのです。

病院での緊急処置:指から外れたリングの姿

空港で足止めを食らったロタール氏は、その夜のホテル代と交通手段を自ら手配し、病院へ向かいました。病院では、医師によって緊急の処置が行われました。幸いにも、指輪用のカッターなどでリングを切断する最悪の事態は免れ、指の腫れを引かせるための氷と、滑りを良くする医療用潤滑剤を使って、専門家が慎重にリングを取り外すことに成功したそうです。

無事に指から解放された後、彼は問題のGalaxy Ringの写真を改めて投稿しました。そこに写っていたのは、スマートリングの内部構造が歪むほどの深刻な損傷でした。バッテリーが搭載されているとみられる部分が大きく変形し、内側のケーシング(筐体)が剥離して鋭く突起していたのです。もし病院での処置が遅れていたら、指の血流が止まったり、皮膚を傷つけたりしていた可能性も否定できません。

ロタール氏は一連の体験を経て、「もう二度とスマートリングは着けない」とコメントしており、この事故が彼に与えた恐怖と苦痛は計り知れないものがあったことがうかがえます。

なぜ膨張したのか?:考えられる複数の要因

では、なぜこのような恐ろしい膨張事故が起きてしまったのでしょうか。ロタール氏自身も、いくつかの可能性について言及しています。まず考えられるのは、彼が滞在していたハワイの環境です。リチウムイオンバッテリーは熱に非常に弱く、例えば35度を超えるような高温環境(夏の車内など)にさらされると、内部の化学反応が不安定になり、劣化や膨張、最悪の場合は発火のリスクが急激に高まります。

次に、そして一部では最も有力な原因ではないかと指摘されているのが、海水への暴露です。Galaxy RingはIP68準拠の高い防水性能を備えているとされていますが、これは基本的に「真水」に対する性能です。海水(塩水)は電気を通しやすく、腐食性も高いため、もしデバイス内部に微量でも侵入した場合、バッテリーの端子や精密な電子回路をショートさせる可能性があります。ショートは異常な発熱を引き起こし、バッテリー内部でガスを発生させ、膨張に至る典型的な原因の一つです。

その他にも、長距離フライトを繰り返したことによる気圧の変化が影響した可能性や、あるいは単純にその製品個体が元々抱えていたバッテリーの不良だった可能性も捨てきれません。

事故の「予兆」:以前から報告されていたバッテリー問題

さらに懸念されるのは、この事故が全くの偶然や突然の出来事ではなかったかもしれない、という点です。ロタール氏によると、彼が2025年1月から使用していたこのGalaxy Ringは、事故が起きるかなり前からバッテリーに問題を抱えていたというのです。

公称では最大7日間程度は持つはずのバッテリーが、使用開始からわずか1ヶ月ほどで持続時間が2~3日にまで激減。そして事故直前の時期には、満充電しても1日持たないという異常な状態に陥っていました。彼は指輪を外すのが面倒になり、時には1ヶ月ほど充電せずに放置していたこともあったと告白しています。バッテリーを完全に使い切ったまま放置する「過放電」は、リチウムイオンバッテリーの劣化を著しく早める行為であり、内部損傷の原因にもなり得ます。

事故発生時、ロタール氏のリングはバッテリーが完全に切れた状態だったと報告されています。過放電によって劣化したバッテリーが、ハワイの高温や海水といった外部からのストレス要因(トリガー)によって、最終的に膨張という形で破綻した、というシナリオも十分に考えられます。

構造的な要因:スマートリング特有のリスク

今回の事故は、Galaxy Ring、ひいてはスマートリングという製品カテゴリ特有の構造的なリスクを浮き彫りにしたとも言えます。Galaxy Ringの外装には、軽量かつ非常に硬い素材であるチタンが採用されています。さらに、デザイン的な特徴として、リングの外側がわずかに凹んだ(コンケイブ)形状をしています。

このスタイリッシュなデザインが、裏目に出た可能性があります。通常、スマートフォンなどでバッテリーが膨張する場合、比較的柔らかいディスプレイや背面パネルを押し上げる「ハマグリ化」と呼ばれる現象が起き、内圧がある程度逃げる(あるいは、ユーザーが目で見てすぐに異常に気づく)ことができます。

しかし、Galaxy Ringのような硬いチタン製で、外側に膨らむ余地のない構造の場合、バッテリー膨張のエネルギー(ガスの圧力)は、唯一の逃げ場である内側、つまりユーザーの指に向かって集中します。硬いリングが万力のように指を締め付ける形となり、スマートフォンが膨らむのとは比較にならないほど直接的で危険な状況を生み出してしまったと考えられます。

「極めて稀なケース」か?:他のユーザーからの報告

Samsungは、複数のメディアからの問い合わせに対し、「お客様の安全は当社の最優先事項です。これは極めて稀なケース(extremely rare case)であり、当社はロタール氏と直接連絡を取り、製品を回収して懸念事項について調査しています」とコメントしています。

企業として「稀なケース」と強調するのは当然の対応かもしれませんが、懸念材料は残ります。海外の巨大掲示板RedditやSNS上では、ロタール氏の報告以前から、他のユーザーによる同様のバッテリー膨張や持続時間の問題を指摘する声が複数報告されていた、との情報があるためです。

特に注目すべきは、今回の事故よりも前に、ロタール氏のケースと「ほぼ同一の膨張パターン」を示した別の事故報告がSNSに投稿されていたことです。その報告によれば、膨張したのはセンサー群が配置されていないリングの反対側が鋭く尖るように膨らむという、今回のケースと酷似したものでした。しかも、そのデバイスは使用開始から1ヶ月未満だったとされており、経年劣化やユーザーの過失だけでは説明がつかない可能性を示唆しています。

Samsungの対応と今後の課題

Samsungの事故後の対応は迅速でした。ロタール氏がXに投稿した後すぐに連絡を取り、彼が余儀なくされたホテル代や交通費を補償。そして、原因究明のために問題のGalaxy Ringを回収しました。この真摯な対応は評価されるべきでしょう。

しかし、Samsungは過去にスマートフォン「Galaxy Note 7」において、大規模なバッテリー発火事故とそれに伴う全世界的なリコールという苦い経験をしています。それだけに、バッテリーの安全性に関しては、他のどのメーカーよりも厳しく、透明性のある対応が求められます。

Galaxy Ringは、2024年7月にグローバル発表され、日本では2025年2月にauから発売されたばかりの、同社にとって初のスマートリング製品です。Oura Ringなどが切り開いた市場に「大本命」として登場した矢先のこの安全性に関する問題は、製品のイメージにとって大きな打撃となりかねません。

私たちが学ぶべき教訓:ウェアラブルデバイスの安全な使い方

今回のロタール氏の痛ましい体験は、決して他人事ではありません。スマートリング、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンなど、私たちは日常的にリチウムイオンバッテリーを搭載した小型デバイスを身体に密着させて生活しています。これらのデバイスの利便性の裏には、常にリスクが潜んでいることを再認識する必要があります。

異常を感じたら即座に使用中止
デバイスが使用中に異常に熱くなったり、今回のように目に見えて(あるいは触ってみて)膨らんでいることに気づいたりした場合は、直ちに身体から外し、充電ケーブルからも抜いてください。

水濡れ、特に海水や化学物質に注意
「防水」性能を過信してはいけません。特に海水、温泉、プールの塩素、石鹸や洗剤などは、真水と異なり、パッキンの劣化を早めたり、内部に侵入した際に回路をショートさせたりする危険性が高いです。メーカーが許可していない環境での使用は避けるべきです。

バッテリーの劣化サインを見逃さない
購入時と比較して、バッテリーの持続時間が急激に短くなった(例えば半分以下になった)場合、それはバッテリーが深刻な劣化状態にあるサインです。そのまま使い続けると、膨張や発熱のリスクが高まっている可能性があります。メーカーのサポートに相談することを推奨します。

過放電・過充電を避ける
バッテリーを完全に使い切ったまま長期間放置すること(過放電)や、逆に常に100%のまま高温の場所(夏のダッシュボードなど)に置きっぱなしにすること(過充電・高温放置)は、バッテリーの寿命を著しく縮め、内部を不安定にします。

まとめ

今回明らかになったGalaxy Ringの衝撃的なバッテリー膨張事故は、人気YouTuberが病院に搬送されるという、ウェアラブルデバイスとしては最悪に近い事態となりました。原因はハワイの高温や海水への暴露、あるいは製品個体の不良など、複数の可能性が考えられますが、Samsungは「極めて稀なケース」として現在詳細を調査中です。しかし、他のユーザーからも同様の報告が上がっているとの情報や、圧力が指に集中するスマートリング特有の構造的リスクも浮き彫りになりました。Samsungは迅速なユーザー対応を行っていますが、過去のバッテリー問題を経験しているだけに、徹底した原因究明と透明性のある情報開示、そして再発防止策が強く求められます。

結論

2025年に鳴り物入りで登場したGalaxy Ringは、指先で健康を管理する未来のデバイスとして、私たちガジェット好きの心を掴みました。それだけに、発売から1年も経たずに明らかになった今回の深刻な安全性に関する問題は、非常に残念でなりません。私たちユーザーも、ウェアラブルデバイスの利便性を享受する一方で、それが強力なエネルギーを秘めたリチウムイオンバッテリーという「化学物質の塊」を常に身につけていることと同義であるという認識を、今一度強く持つ必要があります。異常な発熱や膨張、急激なバッテリー劣化は、デバイスが発する危険信号(SOS)です。Samsungの調査結果と、今後の製品の安全性向上に向けた真摯な取り組みを、引き続き厳しく注視していく必要があるでしょう。

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