DJI Neo 2 vs DJI Neo:安全性・カメラ性能・利便性の徹底比較で違いが際立つ。結局、あなたにおすすめなのはどっち?

DJIから登場した「DJI Neo 2」は、初代「DJI Neo」が切り開いた「手のひらサイズのセルフィードローン」というジャンルを、根本から見直すほどの劇的な進化を遂げました。初代Neoもその手軽さで多くのVlogユーザーや旅行好きに愛されましたが、Neo 2は「安全」かつ「高品質」な撮影を、さらに「簡単」に行えるよう設計されています。本記事では、この新旧モデルを徹底的に比較し、あなたが今どちらを選ぶべきかの答えを導き出します。
安全性と飛行性能:全方向検知は「買い」か
ドローン初心者や、ガジェットとして手軽に飛ばしたいユーザーにとって、最大の関心事は「安全性」です。ここがNeo 2と初代Neoの最も大きな違いと言えます。
初代DJI Neoは、主に下方のみに赤外線センサーを搭載していました。このため、地面との距離を保つホバリングは得意でしたが、前方や後方、側面からの障害物(壁、木の枝、人など)は検知できませんでした。手軽さがゆえに室内や障害物の多い場所で使いたくなりますが、操縦には細心の注意が必要でした。
対してDJI Neo 2は、このクラスの小型ドローンとしては異例の全方向障害物検知を搭載しました。機体前後に加え、側面にも単眼ビジョンセンサーを備え、さらに前方には暗所でも機能するLiDAR(ライダー)センサーまで搭載しています。これにより、複雑な環境でも機体自身が障害物を認識し、自動で回避または停止します。
この進化がもたらす体験の違い
- ActiveTrack(自動追尾)が実用的に:初代Neoでも追尾機能はありましたが、障害物を避けられないため開けた場所でしか使えませんでした。Neo 2なら、障害物を避けながら被写体を追い続けるため、森の中を歩くシーンや、街中での撮影でも安心して使えます。
- 室内飛行の安心感が格段に向上:手のひらから離陸できる手軽さを、室内でも存分に活かせます。壁や家具を自動で認識するため、操縦ミスによる衝突リスクが大幅に低減しました。
- 耐風性能も向上:Neo 2は機体重量が初代の135gから160gへとわずかに増加しましたが、これにより耐風性能も10.7m/s(DJI Mini 4 Proと同等)に向上しています。少し風がある日でも、より安定した映像が期待できます。
カメラとジンバル:Vlog撮影のクオリティはどれだけ上がった?
DJI Neoシリーズはセルフィー(自撮り)やVlog撮影を主目的としています。その核となるカメラ性能も、Neo 2で大きく飛躍しました。
初代Neoのカメラも優秀で、4K/30fpsでの撮影が可能でした。しかし、Vlogでシネマティックな表現(スローモーションなど)を行いたい場合や、動きの速いシーンを滑らかに捉えたい場合には、やや物足りなさがありました。また、手ブレ補正は主に電子式(EIS)に頼っていた側面があります。
DJI Neo 2は、センサーサイズこそ初代と同じ1/2インチCMOSですが、映像処理エンジンが進化し、4K/60fpsでの撮影に対応しました。これにより、動きの速いスポーツシーンでも滑らかで高精細な映像を記録できます。さらに、4K/100fpsのハイフレームレート(スローモーション)撮影も可能になり、Vlogに印象的なスロー映像を差し込むといった、プロフェッショナルな編集が可能になりました。
決定的な違いは「2軸ジンバル」
- 物理的な手ブレ補正:Neo 2は、チルト(上下)とロール(左右の傾き)を物理的に補正する2軸ジンバルを搭載しました。初代Neoが電子手ブレ補正(EIS)に頼っていたのに対し、Neo 2は物理的にブレを吸収します。
- 映像の質感が向上:EISは映像の一部を切り取って(クロップ)補正するため、画質がわずかに劣化したり、映像の端が不自然に歪む「コンニャク現象」が起きることがあります。2軸ジンバルなら、センサーが捉えた映像を最大限活かし、クリアで自然な安定した映像を撮影できます。
- 風の影響を受けにくい:前述の耐風性能向上と2軸ジンバルが組み合わさることで、風で機体が傾いてもカメラは水平を保ち続けます。「撮って出し」の映像でも、編集の手間なく使えるクオリティに仕上がっています。
利便性:ストレージと転送速度の「隠れた」進化
見落とされがちですが、日常使いの快適さを左右するのが、ストレージ容量とデータ転送速度です。
初代Neoは、microSDカードスロットを持たず、22GBの内蔵ストレージのみでした。4K撮影を行うと、すぐに容量がいっぱいになってしまうのが悩みどころでした。また、撮影データをスマートフォンに転送する際のWi-Fi速度も25MB/sと、高解像度の動画ファイルを扱うには少し時間がかかっていました。
DJI Neo 2は、この弱点を徹底的に改善しています。内蔵ストレージは49GBへと倍増以上になりました。これにより、4K/60fpsの高画質設定でも約1時間40分程度の録画が可能となり、バッテリー交換(最大飛行約19分)を数回繰り返しても容量の心配が少なくなりました。
データ転送速度が約3倍に
- 80MB/sの高速転送:Neo 2のWi-Fi転送速度は最大80MB/sに向上しました。
- 撮影後のワークフローが快適に:撮影した高画質な4Kデータを、スマートフォンに素早くダウンロードできます。「撮影して、すぐに編集して、SNSにアップする」というVlogドローンの理想的な使い方をストレスなく実現してくれます。
- microSDカード非対応は継続:Neo 2も初代同様、内蔵ストレージのみの仕様です。大容量化したとはいえ、長期間の旅行などでデータをPCに移せない場合は、容量管理に注意が必要です。
操作性:ジェスチャーと音声操作の追加
「いかに簡単に、スマホのように使えるか」もNeoシリーズの重要なテーマです。
初代Neoも手のひら離着陸やAIトラッキングなど、簡単な操作性を追求していました。しかし、基本的な操作やモード切り替えはスマートフォンアプリ(DJI Flyアプリ)や送信機が必要でした。
DJI Neo 2は、操作の「脱スマホ・脱送信機」をさらに推し進めています。機体自体に小型のディスプレイが搭載され、現在の撮影モードが一目でわかるようになりました。
より直感的な操作が可能に
- ジェスチャー操作の強化:Neo 2は、手の動きだけで飛行や撮影の開始・停止をコントロールできるジェスチャー操作に対応しました。送信機を持たずに、まさに「手ぶら」でドローンを操れます。
- 音声操作に対応:スマートフォンやBluetoothイヤホンと接続し、「Hey Fly」といったウェイクワードで音声コマンドを送れるようになりました。ランニング中やサイクリング中で手が離せない状況でも、ドローンを操作できます。
- 手のひらに帰還:離陸だけでなく、撮影終了後もNeo 2はユーザーの手のひらを正確に認識し、安全に着陸する機能が強化されました。
価格とラインナップ:どちらを選ぶべきか
これだけの進化を遂げたNeo 2ですが、価格差も気になるところです。
初代DJI Neoは、機体単体が約33,000円、Fly Moreコンボが約57,200円でした。手軽に試せる価格が魅力でした。
対してDJI Neo 2は、機体単体が38,390円、送信機(DJI RC-N3)が付属するFly Moreコンボが66,660円となっています(いずれも税込)。
価格差は機体単体で約5,000円、コンボで約9,000円強となります。この価格差で、全方向障害物検知、4K/60p・100p撮影、2軸ジンバル、倍増したストレージ、高速なデータ転送、進化した操作性が手に入ると考えると、Neo 2のコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
まとめ
DJI Neo 2は、初代Neoの「手軽さ」というコンセプトはそのままに、弱点だった「安全性」と「映像クオリティ」をフラッグシップ機に迫るレベルまで引き上げた、まさに「完成形」と言えるセルフィードローンです。特に全方向障害物検知と2軸ジンバルの搭載は、撮影体験を根本から変える大きな進化です。
両モデルの主な違い
- 安全性:Neo 2は全方向検知、初代は下方のみ。
- カメラ:Neo 2は4K/60p・100p対応、初代は4K/30pまで。
- 安定性:Neo 2は2軸ジンバル搭載、初代はEISがメイン。
- ストレージ:Neo 2は49GB、初代は22GB。
- 転送速度:Neo 2は80MB/s、初代は25MB/s。
- 操作性:Neo 2はジェスチャー、音声操作、機体ディスプレイを搭載。
結論
もしあなたが今、初代Neoの購入を検討している、あるいは初代Neoを持っていてその手軽さに満足しているが「もう少し安全に飛ばしたい」「もっとキレイな映像が欲しい」と感じているなら、DJI Neo 2は迷わず「買い」です。
約5,000円から9,000円の価格差で得られる「衝突の恐怖からの解放(全方向検知)」と「プロ並みの映像表現(4K/60p+2軸ジンバル)」は、その価値を遥かに上回ります。初代Neoは確かに安価ですが、Neo 2の登場により、その役目は「入門機」から「より安全で高性能な入門機」へとバトンタッチされたと言えるでしょう。初めてのドローンとして、あるいはVlog用のサブ機として、DJI Neo 2は最高の相棒になるはずです。


