DJI Neo 2:151gの革命、全方向検知と4K/100fpsをその手に

2025年11月13日、DJIは民生用ドローン市場に新たな衝撃を与える新製品「DJI Neo 2」を発表しました。この機体は、わずか151gという驚異的な軽さのボディに、これまで上位機種の特権であった全方向障害物検知システムとAIトラッキング機能を凝縮しています。さらに、送信機を必要としない直感的なジェスチャーコントロール、手のひらからの離着陸、そして4K/60fps(最大100fps)の高解像度撮影を実現する2軸ジンバルカメラを搭載。38,390円からという戦略的な価格設定は、初心者からプロのサブ機まで、あらゆる層のクリエイターにとって「空撮」の概念を根底から覆す可能性を秘めています。これは単なる新型ドローンではなく、パーソナル空撮カメラの新たなスタンダードの幕開けと言えるでしょう。
発表された衝撃:DJI Neo 2とは何者か
DJI Neo 2は、Vlog撮影や日常の記録を革新するために設計された、次世代の「フォローショットカメラドローン」です。その最大の特徴は、手のひらサイズでありながら妥協のない安全機能と映像品質を両立させた点にあります。初代「Neo」シリーズが切り開いた超小型市場のコンセプトを引き継ぎつつ、その性能はあらゆる面で劇的な進化を遂げました。
機体の核となるのは、151gという重量。この軽さでありながら、前後左右上下の全方向に対して障害物を検知するシステムを搭載したことは、技術的なブレークスルーと言えます。これにより、ドローン操作に不安を感じる初心者であっても、室内や障害物の多い場所で、かつてないほどの安心感を持って飛行させることが可能になりました。
さらに、AI機能が大幅に強化されています。進化した「ActiveTrack」は被写体を滑らかに追従し続け、「SelfieShot」はまるで専属のカメラマンがいるかのような自動撮影を実現します。そして何より革新的なのが、送信機を一切使わずに、手のジェスチャーだけで機体の操作から撮影までを完結できる機能です。これにより、ドローンは「操縦するもの」から「連れて歩く相棒」へとその存在意義を変えつつあります。
151gという「重さ」の決断:航空法と規制の全知識
DJI Neo 2のスペックで最も注目すべき、そして購入前に必ず理解すべきなのが「151g」という機体重量です。日本の現行の航空法では、100g以上の機体はすべて「無人航空機」として分類されます。これは、DJI Neo 2が、いわゆる「トイドローン」のカテゴリには入らないことを意味します。
100g未満のドローンが航空法の多くの規制(機体登録、特定飛行の許可承認など)から除外されるのに対し、151gのNeo 2は、その上位モデルであるDJI Miniシリーズ(249g)と法的に全く同じ扱いを受けます。具体的には、購入後にまず国土交通省のDIPS(ドローン情報基盤システム)を通じて、機体情報を登録する「機体登録」が義務付けられています。
登録を怠ったまま屋外で飛行させた場合、航空法違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があり、これは趣味の飛行であっても例外ではありません。また、機体には発行された登録記号を明記し、リモートID機能を搭載(または外付け)して飛行させる必要があります。Neo 2がこの機能を内蔵しているか、あるいは外付けが必要になるかは、運用上の大きなポイントです。
さらに、人口集中地区(DID)での飛行、夜間飛行、目視外飛行、人や物件から30m未満の距離での飛行など、いわゆる「特定飛行」を行う場合は、機体登録とは別に、都度または包括的な「飛行許可・承認申請」が必要となります。DJIが敢えて100gの壁を超える「151g」という選択をしたのは、これらの法的手続きというハードルと引き換えにしても余りあるほどの、高度なセンサーや大容量ストレージ、高性能カメラを搭載するという機能優先の明確な意思表示です。この機体は、規制の枠内で最大限の性能を引き出す「本格的な空撮機材」なのです。
初心者の壁を完全破壊:全方向障害物検知システムの深層
DJI Neo 2が151gという重量増を選択した最大の理由、それがこの「全方向障害物検知システム」の搭載です。これは、ドローンが自らの周囲360度の障害物をリアルタイムで認識し、衝突を自動で回避または停止する機能であり、初心者が体験する最大の恐怖である「衝突リスク」を劇的に低減させます。
注目すべきは、そのセンサー構成です。Neo 2は、コストと重量の制約が厳しい小型機でありながら、非常に高度なハイブリッドセンサーシステムを採用しています。まず、機体の最も衝突リスクが高い前方には「LiDAR」(ライダー)を搭載しています。LiDARはレーザー光を照射し、その反射にかかる時間で正確な距離を測定するアクティブセンサーです。光や影の影響を受けにくく、暗所でも高い精度を発揮するのが特徴で、これは上位機種譲りの豪華な仕様と言えます。
機体の下方には「赤外線センサー」が搭載されています。これもアクティブセンサーの一種で、地面との距離を正確に測定し、安定したホバリングや、手のひらへの正確な着陸を実現するために不可欠な機能です。特に室内やGPSが届かない環境での安定性は、このセンサーの恩恵が非常に大きいです。
そして、側面(左右)、後方、上方には「単眼ビジョンシステム」が採用されています。これは、人間の両目にあたるステレオカメラとは異なり、一つのカメラ(単眼)で得られる映像を高度なソフトウェアで処理し、奥行きを認識する技術です。機体自身が移動する際に生じる映像のズレ(オプティカルフロー)を解析し、「遠くの景色はゆっくり動き、近くの物体は速く動く」という原理を利用して3D空間を構築します。この方式は、ステレオカメラに比べて軽量かつ省コストですが、静止状態での奥行き認識は苦手とする側面もあります。しかし、LiDARと赤外線を組み合わせることで、それぞれのセンサーの長所を活かし、短所を補い合う、非常に賢いエンジニアリング的解決策が図られています。
未来の操作感:送信機不要のジェスチャーコントロール
DJI Neo 2の革新性を最も象徴する機能が、送信機を一切必要としない「ジェスチャーコントロール」です。これは、ドローンを「操縦する」という行為そのものからユーザーを解放し、まるでSF映画のように、手の動きだけで機体を自在に操る体験を提供します。
操作の開始は驚くほどシンプルです。機体の電源を入れ、手のひらに乗せて機体側面にあるボタンを押すだけ。Neo 2はプロペラガードに守られながら安全に手のひらから離陸し、あなたの指示を待つかのように空中でホバリングします。この「パームテイクオフ」機能により、従来の「送信機の電源を入れ、アプリを起動し、平らな場所を探して離陸する」という一連の煩わしい手順が完全に不要になりました。
操作は直感的です。手のひらをNeo 2に向けると、機体はあなたの手を認識します。手を上下左右に動かせば、ドローンはそれに合わせてスライド移動します。両手を使って間隔を広げたり狭めたりするジェスチャーをすれば、ドローンはあなたから遠ざかったり(ズームアウト)、近づいたり(ズームイン)します。これにより、送信機のスティック操作に慣れていない人でも、思い通りの構図を瞬時に作ることが可能です。
撮影もジェスチャーで完結します。特定のハンドサイン(例えばピースサインやフレームを作る動作)を認識すると、Neo 2は自動でカウントダウンを開始し、写真や動画の撮影を行います。さらに、機体本体には新たに小型ディスプレイが搭載され、選択中の撮影モードやバッテリー残量が一目でわかるようになっています。これにより、スマートフォンアプリを開いて確認する必要すらなくなり、真の意味で「ドローンと自分だけ」の撮影体験が完結します。
第3の操作方法:「声」で操るボイスコントロール
ジェスチャーコントロールに加え、DJI Neo 2はさらに未来的な操作方法として「音声コントロール」機能を搭載しました。これは、手が離せない状況や、ジェスチャーすら難しいアクティビティの最中でも、あなたの「声」だけでドローンを操作できる画期的な機能です。
この機能は、スマートフォンやBluetoothイヤホンと連携して動作します。例えば、サイクリング中にヘルメットのインカムやワイヤレスイヤホンに向かって「Neo 2、ついてきて」や「Neo 2、撮影開始」といった特定のコマンドを発するだけで、機体は即座にその指示を実行します。これにより、両手はハンドルを握ったまま、あるいはトレイルランニングに集中したまま、決定的瞬間を逃さずに空撮映像として記録し続けることができます。
音声コントロールは、従来の空撮の常識を覆す可能性を秘めています。これまでは、被写体(自分)が一度止まり、送信機を取り出して操作を開始する必要がありました。しかし、音声コントロールがあれば、アクティビティの流れを一切止めることなく、シームレスに空撮を開始・停止できます。
また、録音機能も強化されており、スマートフォンのマイクで録音したあなたの声や周囲の環境音を、ドローンが撮影する映像に同期させることができます。さらに、AIがドローン本体のプロペラノイズを賢く抑制・除去してくれるため、よりクリアで臨場感のあるVlog作品を簡単に制作できるのも大きな魅力です。
映像クリエイターの新たな相棒:4K/100fpsと1/2インチセンサー
DJI Neo 2は、その小型軽量なボディに似つかわしくないほど強力なカメラシステムを搭載しています。多くの小型ドローンが画質を犠牲にする中、Neo 2は1/2インチCMOSイメージセンサーを採用しました。これは、一般的なスマートフォンや旧世代の小型ドローンに搭載されている1/2.3インチセンサーよりも大型であり、より多くの光を取り込むことができます。
この大型センサーの恩恵は、特に薄暗いシーンや明暗差の激しい状況で発揮されます。より少ないノイズでクリアな映像を記録し、豊かなダイナミックレンジで白飛びや黒つぶれを抑えた、プロ品質の映像表現が可能になります。
動画性能もフラッグシップ機に迫る勢いです。標準的な高画質モードとして4K/60fpsでの撮影に対応。滑らかな映像で、動きの速い被写体や風景のディテールまで鮮明に捉えます。さらに、スローモーション撮影用として4K/100fpsという驚異的なハイフレームレート撮影を実現しています。これにより、4Kの高解像度を保ったまま、最大4倍の滑らかなスローモーション映像を編集で作成でき、一瞬の動きをドラマチックに演出することが可能です。
これらの高解像度・高フレームレート映像は、高効率なH.265(HEVC)コーデックで記録されます。従来のH.264に比べ、より少ないデータ容量で同等以上の画質を維持できるため、後述する大容量内蔵ストレージを最大限に活用することができます。
2軸ジンバルとRockSteady:3軸ではない理由の考察
DJI Neo 2のスペックにおいて、経験豊富なドローンユーザーほど注目するのが「2軸メカニカルジンバル」という仕様でしょう。DJIの他の多くの主力製品が3軸ジンバル(パン・チルト・ロール)を採用する中、Neo 2は意図的に2軸(チルト・ロール)を選択しています。これは明確な設計思想に基づくトレードオフの結果です。
3軸ジンバルは、水平方向の揺れ(ヨー)も物理的に補正できるため、最も滑らかな映像が得られます。しかし、その分だけ機構が複雑になり、重量とコストが増加します。151gという機体重量と、全方向障害物検知という最優先機能を両立させるため、DJIは3軸目(ヨー)の補正を、物理的なジンバルではなく、強力な電子式映像ブレ補正(EIS)である「RockSteady」技術に委ねるという判断を下しました。
Neo 2に搭載されたRockSteadyは、DJIのアクションカメラで培われた高性能なアルゴリズムに基づいています。機体の細かな回転や振動をジャイロセンサーで検知し、映像をリアルタイムでクロップ(切り出し)しながら補正することで、まるで3軸ジンバルで撮影したかのような滑らかな映像を生み出します。
もちろん、物理的な3軸ジンバルに比べれば、極端に機敏な回転操作を行った際には電子補正の限界が見える場面もあるかもしれません。しかし、Neo 2の主用途である「被写体(自分)を滑らかに追従する」「ゆっくりとしたカメラワークで撮影する」といったシーンにおいては、この2軸ジンバル+RockSteadyの組み合わせは、重量と性能のバランスが取れた最適解と言えるでしょう。
SNS時代の必須機能:2.7K縦向き撮影モード
現代のコンテンツ消費において、スマートフォンでの視聴に最適化された「縦動画」の需要は爆発的に増加しています。TikTok、Instagramリール、YouTubeショートといったプラットフォームが主流となる中、従来の横動画(16:9)を単純に切り抜いただけの縦動画では、クリエイターの意図を十分に伝えることはできません。
DJI Neo 2は、このトレンドに完全に対応しています。カメラセンサーの向きを物理的に回転させるのではなく、高解像度センサーの一部を効率的に使用することで、最大2.7Kという高解像度での「縦向き撮影モード」をネイティブサポートしています。これにより、画質を犠牲にすることなく、SNSプラットフォームに最適なアスペクト比の映像を直接記録することが可能です。
横動画として撮影した素材を後から編集で縦に切り出す場合、多くの場合で解像度がフルHD程度まで低下してしまい、画質の劣化が目立ちます。しかし、Neo 2では2.7Kという十分な解像度を維持できるため、編集でさらにズームや構図の調整を行う余裕さえ生まれます。
この機能は、特にVlogや日常のシーンを切り取ってすぐにSNSで共有したいユーザーにとって、非常に強力な武器となります。撮影した素材をPCに取り込むことなく、スマートフォンに転送し、アプリで簡単な編集を加えるだけですぐに高品質な縦動画コンテンツとして発信できる。このスピード感こそが、Neo 2が目指す「パーソナル空撮」の姿です。
メモリーカード不要?:49GB内蔵ストレージという英断
従来のドローン撮影における小さなストレスの一つが、microSDカードの管理でした。「飛ばそうと思ったらカードをPCに挿しっぱなしだった」「容量がいっぱいで撮影できなかった」「どのカードにどの映像が入っているかわからない」といった経験は、多くのユーザーが持っているはずです。
DJI Neo 2は、この問題を大胆な方法で解決しました。なんと、49GBという大容量の内蔵ストレージを標準搭載してきたのです。これは、前モデル(22GBと言われています)から倍増以上のアップグレードであり、多くのユーザーにとって「microSDカード不要」を現実のものにします。
この49GBという容量がどれほどのものか。Neo 2の最高画質モードである4K/100fps(H.265)のビットレートが、他のDJI製品(Mini 4 Proなど)と同等の150Mbpsだと仮定しましょう。150Mbpsは毎秒約18.75MBのデータ量です。計算上、49GBの内蔵ストレージには、最高画質の映像を約43~44分も記録できることになります。
Neo 2の最大飛行時間は19分です。つまり、バッテリー2本分(合計38分)の飛行で撮影した映像を、すべて最高画質で記録してもまだ余裕がある計算です。これにより、ユーザーはフライトのたびにカードの残量を気にする必要がなくなり、撮影体験そのものに集中できます。Wi-Fi 6にも対応しているため、撮影した大容量データのスマートフォンへの転送も高速です。これは、特に手軽さを重視する初心者層にとって、技術的なスペック以上に大きな価値を持つ「体験の向上」と言えるでしょう。
進化したAI追従:新世代ActiveTrackの実力
DJI Neo 2のAI機能の中核をなすのが、進化した自動追従機能「ActiveTrack」です。これは、指定した被写体(人物、車、自転車など)をドローンが自動で認識し、まるで熟練のオペレーターが操縦しているかのように、一定の距離と角度を保ちながら追尾し続ける機能です。
Neo 2のActiveTrackは、従来機から大幅な進化を遂げています。まず、最大追跡速度が向上し、ランニングやサイクリングといった、より速度の速いアクティビティにもスムーズかつ安定して追従できるようになりました。入手情報によれば、最大で毎秒12mの速度での追跡が可能とされており、これは時速に換算すると約43km/hに達します。
さらに、追従の方向も進化しています。「前後」「左右」だけでなく、「斜め」を含む8方向からのトラッキングに対応しました。これにより、被写体の真後ろからだけでなく、斜め前方から被写体の表情を捉えながら並走したり、ダイナミックに周囲を旋回したりといった、よりクリエイティブなカメラワークを自動で実行できます。
この進化したActiveTrackの性能を陰で支えているのが、前述の「全方向障害物検知システム」です。従来の追従機能は、障害物検知が前方のみの場合、後方や側面に障害物があっても認識できず、衝突するリスクがありました。しかしNeo 2は、追従中であっても全方向の安全を常に監視。木々の間をサイクリングするような複雑なシーンでも、枝や幹を自ら認識して賢く回避しながら、被写体をフレームの中心に捉え続けます。この「安全性とAIの融合」こそが、Neo 2のActiveTrackを”使える”機能に昇華させているのです。
“映え”を自動生成:SelfieShot機能の使いどころ
ActiveTrackが「動き」を自動化する機能だとすれば、「SelfieShot」は「構図」を自動化する機能です。これは、三脚や他人の手を借りることなく、まるでプロが撮影したような印象的なセルフィー(自撮り)映像を、ハンズフリーで簡単に撮影できるインテリジェントモードです。
SelfieShotを起動すると、Neo 2はあなた(被写体)を自動で認識し、いくつかのプリセットされたカメラワークから選択するだけで、自動で飛行しながら撮影を開始します。例えば、被写体の上半身を捉える「ウエストアップ」、全身を捉える「全身ビュー」、そして被写体からダイナミックに遠ざかりながら周囲の壮大な風景も一緒に収める「遠景ビュー」など、多彩な構図が用意されています。
この機能は、特に一人旅や友人、家族とのグループショットで真価を発揮します。誕生日パーティーやピクニックといったシーンで、全員がフレームに収まるようにドローンが自動で構図を調整し、大切な瞬間をワンタップ(あるいはジェスチャー)で映画のようなワンシーンとして切り取ってくれます。
従来のドローンでは、こうした動き(ドローニーやロケットと呼ばれるもの)を実現するために、送信機で複雑なスティック操作をしながら、被写体がフレームから外れないようにカメラのチルト角も同時に調整する必要がありました。SelfieShotは、これらの高度な操作をすべてAIに任せることで、「撮りたいイメージ」と「撮影ボタン」を直結させ、誰もがクリエイティブな映像表現を楽しめるようにした機能です。
飛行性能の基盤:耐風性能とバッテリー
151gという軽量な機体でありながら、DJI Neo 2は侮れない基本飛行性能を備えています。特に注目すべきは、レベル5(毎秒10.7m)の耐風性能です。レベル5の風とは「やや強い風」に分類され、木の枝全体が揺れ、水面に波頭が立つような状況に相当します。
初代Neoや他の100g前後のドローンが、少し風が吹くと流されてしまい、屋外での飛行がためらわれることが多かったのに対し、Neo 2はより強力なモーターと高度な飛行制御アルゴリズムによって、このクラスの機体としては卓越した安定性を実現しています。これにより、多少風のある日や、ビルの谷間、海岸線といった環境でも、安心して飛行させ、安定した映像を撮影できる可能性が広がりました。
最大飛行時間は19分と公表されています。これは、前モデル(17分)からの堅実な進化です。もちろん、Miniシリーズのような30分を超える飛行時間には及びませんが、これは151gの機体に全方向センサーや大容量ストレージを詰め込んだ上でのトレードオフです。
19分という時間は、Vlogのワンシーンを撮影したり、SelfieShotで印象的なカットを数パターン撮影したりするには十分な長さです。この機体のコンセプトが、長時間のフライトよりも「撮りたい瞬間に素早く起動し、確実に撮影する」ことにある点を考慮すれば、非常に現実的でバランスの取れたバッテリー性能と言えるでしょう。もちろん、本格的に使用するならば、予備バッテリーがセットになった「Fly Moreコンボ」の選択が賢明です。
選べる4つのパッケージ:あなたに最適なのはどれ?
DJI Neo 2は、ユーザーの多様なニーズに応えるため、4種類の異なる製品パッケージで発売されました。価格と内容物が異なるため、自分の使い方に最適なものを選ぶことが重要です。
1. DJI Neo 2(機体単体):38,390円
最もベーシックなパッケージです。Neo 2機体本体、バッテリー1個、プロペラガードなどが含まれます。送信機(コントローラー)は付属しません。このパッケージは、主にジェスチャーコントロール、音声コントロール、またはスマートフォンアプリのバーチャルスティック操作で完結させたいユーザーや、すでに対応送信機(RC-N3など)を所有しているDJIユーザー向けの、最も安価なエントリーモデルです。
2. DJI Neo 2 Fly Moreコンボ(送信機なし):51,700円
機体単体に加え、追加のインテリジェントフライトバッテリー2個、充電ハブなどがセットになったパッケージです。送信機は付属しません。上記の「送信機不要」のスタイルをメインにしつつも、バッテリー切れの心配なく長時間の撮影を楽しみたいユーザーに最適です。
3. DJI Neo 2 Fly Moreコンボ(送信機付属):66,660円
多くのユーザーにとって標準的な選択肢となるであろうパッケージです。上記のFly Moreコンボの内容に、標準送信機「DJI RC-N3」が付属します。ジェスチャーコントロールの手軽さも楽しみつつ、長距離飛行や精密なカメラワークなど、ドローン本来の「操縦する楽しみ」も追求したいユーザーには、このセットが最もコストパフォーマンスに優れています。
4. DJI Neo 2 Motion Fly Moreコンボ:91,740円
最もハイエンドなパッケージです。Fly Moreコンボ(送信機付属)の内容に加え、DJI Goggles(FPVゴーグル)とDJI Motion Controller(モーションコントローラー)がセットになっています。これにより、Neo 2を臨場感あふれるFPV(一人称視点)ドローンとして体験できます。直感的な操作で、鳥になったような視点での飛行を楽しみたいユーザー向けの最上位モデルです。
伝統と革新:多彩なコントロールオプション
DJI Neo 2の最大の魅力の一つは、その驚異的な「操作の多様性」にあります。ユーザーは、自分のスキルレベルや撮影シーンに応じて、最適な操作方法を自由に選択できます。
1. ジェスチャーコントロール&ボイスコントロール
前述の通り、Neo 2の革新性を象徴する操作方法です。送信機もスマートフォンも不要で、自分の手や声だけで機体を操れます。日常のスナップ、Vlogの自撮り、アクティビティ中の撮影など、「撮りたい」と思った瞬間に即座に対応できるスピード感が魅力です。
2. スマートフォンアプリ操作
専用の「DJI Fly」アプリをインストールしたスマートフォンだけでも操作が可能です。画面上に表示されるバーチャルスティックを使って、従来の送信機と同じように機体を前後左右上下に動かすことができます。送信機を持ち歩きたくないけれど、ジェスチャーでは難しい細かな構図調整を行いたい場合に便利です。
3. 標準送信機(DJI RC-N3)
「Fly Moreコンボ(送信機付属)」に同梱されるDJI RC-N3は、スマートフォンを装着して使用するスタンダードな送信機です。物理スティックによる精密な操作が可能で、日本では最大6kmという長距離映像伝送を実現します。ActiveTrackやジェスチャーでは対応できない、複雑なカメラワークや長距離での風景撮影を行う際には必須のオプションです。
4. FPV(一人称視点)コントロール
「Motion Fly Moreコンボ」を選択すれば、Neo 2は没入型のFPVドローンに変貌します。DJI Gogglesを装着し、片手で持つモーションコントローラーを傾けるだけで、機体は直感的にその方向へ飛行します。まるで自分が空を飛んでいるかのような、スリリングでダイナミックな映像体験が可能です。
これら4つの全く異なる操作系統を、わずか151gの機体で全てサポートしている点に、DJI Neo 2の底知れぬポテンシャルが表れています。
初代Neoからの劇的進化:比較と分析
DJI Neo 2は、単なるマイナーアップデートではありません。初代「DJI Neo」(2024年発売)のコンセプトを継承しつつも、その中身は「劇的進化」あるいは「フルモデルチェンジ」と呼ぶにふさわしい変貌を遂げています。
1. 重量と規制:135g → 151g
最も大きな変更点です。初代Neoは135g(一部情報)と、100g台前半の軽量設計でした。Neo 2は151gへと「増量」しました。これは前述の通り、100g以上の機体登録が必須となる代わりに、圧倒的な機能性を手に入れるという戦略的な選択です。
2. 障害物検知:限定的 → 全方向
初代Neoは、下方センサーや前方センサーのみなど、限定的な障害物検知しか備えていませんでした。Neo 2はLiDARを含む全方向検知システムを搭載し、安全性が比較にならないほど向上しました。
3. カメラ性能:4K/30fps → 4K/100fps
Neo 2は、1/2インチセンサーの搭載と、4K/100fpsというハイフレームレート撮影に対応しました。映像のクオリティと表現の幅が格段に向上しています。
4. 内蔵ストレージ:22GB → 49GB
内蔵ストレージが倍以上に増強されました。これにより、高画質化した映像データをmicroSDカードなしで余裕を持って保存できるようになり、利便性が飛躍的に高まりました。
5. 飛行性能:17分 → 19分 / レベル4 → レベル5
飛行時間が2分延長され、耐風性能もレベル4からレベル5へと強化されました。よりタフな環境で、より長く撮影を続けられるようになりました。
6. 新機能:ジェスチャー、ボイス、本体ディスプレイ
送信機不要のジェスチャーコントロール、ボイスコントロール、そして機体本体のディスプレイは、Neo 2で新たに追加された革新的な機能です。これらは、ドローンの「使い方」そのものを変えるものです。
初代Neoが「手軽な小型ドローン」であったとすれば、Neo 2は「安全機能と高画質、革新的な操作性を備えた、本格的なパーソナル空撮カメラ」へと、その存在自体がクラスチェンジしたと言えるでしょう。
市場での立ち位置:DJI Mini 4 Pro、Hover Air X1との競合
DJI Neo 2は、ドローン市場において非常にユニークな立ち位置を確立しています。その競合となるのは、どのような機種でしょうか。
内部競合:DJI Mini 4 Pro
まず比較対象となるのが、同じDJIの「Mini 4 Pro」です。Mini 4 Proも249g(100g以上)で全方向障害物検知を備えた高性能機です。Mini 4 Proが優れる点は、物理3軸ジンバルによる完璧な安定性と、より高性能なカメラスペック(4K/100fpsに加え、D-Log Mカラーモードなど)にあります。一方で、Neo 2が優れる点は、38,390円からという圧倒的な低価格、151gの軽さ、49GBの大容量内蔵ストレージ、そして何よりジェスチャー&ボイスコントロールという「手軽さ」です。
選択の基準: 映像作品としてのクオリティを極限まで追求し、カラーグレーディングなども行う「クリエイター」にはMini 4 Pro。日常や旅の記録を、より手軽に、素早く、楽しく撮影したい「Vlogger」や「一般ユーザー」にはNeo 2が最適でしょう。
外部競合:Hover Air X1
DJI以外のメーカーでは、AI搭載の「セルフィードローン」カテゴリを切り開いた「Hover Air X1」が競合となります。X1も送信機不要のAI追従や自動撮影モード、手のひら離着陸を特徴とする軽量な機体です。しかし、Neo 2はX1に対して多くの優位性を持っています。それは、全方向障害物検知(X1は限定的)、LiDAR搭載、4K/100fpsの圧倒的な画質(X1は2.7K)、19分の飛行時間、そしてDJIが培ってきた盤石の飛行安定性とActiveTrackの追従精度です。
選択の基準: Hover Air X1は、そのシンプルさとデザイン性で独自の地位を築いています。しかし、Neo 2は「セルフィードローン」に「本格的なドローンの安全性能と画質」を融合させた、”全部入り”の上位互換機として登場しました。価格差はありますが、得られる安全性と映像品質の差は非常に大きいと言えます。
Neo 2は、「Miniシリーズ」の手軽さと、「Hover」のようなAIドローンの革新性を併せ持ちながら、そのどちらとも異なる「高機能・高コスパ・超直感」という新しいカテゴリを創出したのです。
まとめ
DJIが2025年11月13日に発表した「DJI Neo 2」は、単なる新製品の枠を超え、パーソナル空撮のあり方そのものを変革する可能性を秘めた一台です。151gという重量は、100g以上の機体登録が必須という法的な手続きをユーザーに求めますが、その見返りとして、全方向障害物検知、前方LiDAR、49GB内蔵ストレージ、4K/100fps撮影、レベル5耐風性能といった、従来の小型ドローンの常識を覆すほどのハイスペックを提供します。特に、送信機を不要にするジェスチャーコントロールとボイスコントロールは、ドローンを「操縦する機械」から「連れ歩くAIカメラ」へと進化させました。38,390円からという戦略的な価格設定は、これまでドローンに触れたことのなかった全く新しい層に、空撮の楽しさと安全性を同時に届けることになるでしょう。
DJI Neo 2の注目ポイント
- 151gの軽量ボディに、上位機種並みの全方向障害物検知システム(前方LiDAR含む)を搭載
- 送信機不要の「ジェスチャーコントロール」と「ボイスコントロール」で直感的な操作を実現
- 1/2インチセンサーで4K/100fpsの高品質スローモーション撮影が可能
- 49GBの大容量内蔵ストレージを搭載し、microSDカードの手間から解放
- 100gを超えるため、日本国内での飛行には「機体登録」と「航空法」の遵守が必須
- 38,390円からという、機能に対して圧倒的なコストパフォーマンス
結論
DJI Neo 2は、「誰でも、安全に、驚くほど美しい映像を、最も簡単な方法で」という、多くの人がドローンに抱いていた理想を、現実的な価格で具現化した製品です。151gという重量設定は、DJIが規制の枠を回避することよりも、ユーザー体験の質と安全性を最優先するという明確な哲学を示しています。法的手続きという小さなハードルを越えさえすれば、そこにはかつてないほど自由でクリエイティブな空撮の世界が待っています。これまで「難しそう」「危なそう」「高そう」という理由でドローンを敬遠していた人々にこそ、このNeo 2は最適な「最初の一台」となるはずです。これは、ドローンが特別な機材ではなく、スマートフォンのように誰もが日常的に使う「空飛ぶカメラ」になる未来への、大きな一歩と言えるでしょう。


